マイク・ウエアがカナダの選手として男子のメジャーを初めて制した試合。左打ちの選手がマスターズに勝ったのも、これが初めてだった。
レフティー(左打ちの選手)たちにとって、オーガスタ・ナショナルは特に攻略が難しいコースとみられていた。左ドッグレッグの13番ロングを筆頭に、2、5、8、9、10番など、左方向へ曲がるホールが多い。うまくショットをコントロールして好位置をキープするには、右打ちの選手の方が有利というのが定説だった。
レフティーがメジャー大会で活躍することが多くない状況に、ウエアは13歳の時にジャック・ニクラウスに手紙を書き、右打ちに転向すべきかどうかを尋ねた。返ってきたアドバイスは「今のままのスイングを大事にしなさい」というものだったという。左打ちを貫く決断が誤りでなかったことが、32歳で実証された。
ウエアが新たな歴史を切り開くと、04年にはフィル・ミケルソン(米国)が念願の初優勝を果たす。勝者にグリーンジャケットを贈る表彰式は、前年の勝者ウエアが、同じレフティーのミケルソンにジャケットを着せるという光景になった。ミケルソンは06、10年にも優勝。マスターズに関する限り、レフティーの勝利は珍しいものではなくなった。
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