30歳で充実期を迎えていたアーノルド・パーマー(米国)が2年ぶり2度目の優勝を果たした。その勝ちっぷりは、改めてその底力を満天下に証明するものだった。
パーマーは初日から67をマークして首位で発進。その後も73、72にまとめ、単独首位で最終日を迎えた。
しかし、最終ラウンド途中でケン・ベンチュリ、ダウ・フィンスターワルド(ともに米国)にリードを許す。チャンスホールである13、15番のロングでバーディーを逃し、16番ショートでもスコアを縮められない。一転ピンチに立たされ、ファンをやきもきさせた。
追い詰められた状況で本領を発揮するのが千両役者だ。17番で8メートルのバーディーパットを沈め、ベンチュリに追いつく。迎えた最終18番、「最低でもパーをセーブしてプレーオフの権利を」と手堅いプレーを念頭に置きながら、しっかりチャンスにつけてバーディー。見事な連続バーディーで逆転を果たした。4日間首位で優勝したのは、史上2人目だった。
人気者がライバルたちと演じた息詰まる終盤の争いは、会場のギャラリーたちだけでなく、多くのテレビ視聴者を魅了。大会がさらに注目と人気を集める大きなきっかけになった。パーマーは62年にゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)、64年にはジャック・ニクラウス(米国)らのライバルを退けてマスターズの優勝回数を4まで伸ばした。ちなみに、59年にアマチュアで初出場したニクラウスが初めて勝つのは、63年。充実期のパーマーが、規格外の新鋭と競り合ったこの時期が、ゴルフ人気の大きな土台を築いた。
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