特集・ウィキリークス

露大統領は脇役の「ロビン」

 【ワシントン時事】内部告発サイト「ウィキリークス」が2010年11月28日、予告通り約25万点の外交公電の一部を公表した。米政府は、機密扱いの公電の公表による外交政策への影響を懸念。これに対し、同サイトや公電の提供を受けたニューヨーク・タイムズ紙などは、「国民の知る権利」や「真実の追求」を掲げて公表の正当性を主張する。インターネット社会における情報公開の在り方について、今後、議論を呼びそうだ。

 ギブズ米大統領報道官は同日の声明で、機密の公電公表を「無謀で危険な行為」と厳しく非難した。同報道官は、公電には外国政府との「私的な議論」が含まれており、これらが新聞で公表されれば「米国だけでなく、同盟諸国や友好国の外交利益にも大きな影響が及ぶ可能性がある」と指摘。さらに、米国の外交官らを危険にさらすことになると、強い懸念を表明した。

 各国の在外公館は、駐在国の高官や政府関係者らとの会談や私的会話の内容を適宜公電にして本国に報告する。この中には、外交政策に関するものだけでなく、秘密裏に行っている情報活動や各国首脳や高官の人物評価なども含まれる。これらが公表された場合、対外的信用を失い、外交活動に支障をきたすことにもなりかねない。

 今回公表された公電には、北朝鮮の金体制崩壊時の対応に関する韓国当局との協議やサウジアラビアのアブドラ国王によるイラン攻撃要請など安全保障上の機密事項だけでなく、交渉相手国要人のクレジットカードの番号や携帯電話などの個人情報収集を指示するものも含まれていた。

 首脳の評価については、イタリアのベルルスコーニ首相を「虚栄心が強く、精神的、政治的に弱い」、ドイツのメルケル首相を「創造力に乏しい」と酷評。ロシアのメドベージェフ大統領に至っては、プーチン(首相)バットマンの助手役のロビンとちゃかしている。

 ウィキリークスは今年7月と10月、アフガニスタン戦争とイラク戦争に関する映像や公電多数をネット上で公表。連邦捜査局(FBI)はこれに関連し、陸軍情報担当のマニング上等兵を機密情報不正入手の罪で訴追しており、今回公表された公電の主なリーク元もこの人物とみられている。

 日本でも海上保安官が、沖縄・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突のビデオ映像を個人でネットに流出させ大問題となったが、ウィキリークスは、政府や軍内部の告発者がリークした情報や映像を組織的かつ効果的にネットに公表する。

 米政府は既に、法的措置を含め流出防止策を検討しているが、いったんリークされれば、公表を阻止することは困難だ。今回も、国務省が公表中止を繰り返し求めたが、ウィキリークスや公電の提供を受けた一部メディアも要請を拒否した。

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は読者に対し、国家安全保障を損なう公電を排除するなど配慮したと釈明。「公電は、多くの人命と多額の費用をかける最大の決定を政府がどのように行うかを率直に伝えている」とし、掲載を見送れば読者の期待を裏切ることになると指摘している。

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