【ベルリン時事】ドイツの与党・自由民主党は2010年12月4日までに、内部告発サイト「ウィキリークス」が公表したマーフィー駐独米大使の公電の情報源が党首を務めるウェスターウェレ外相の側近の秘書室長だったことを突き止め、解任した。政権中枢からの情報漏えいが明らかになり、メルケル首相が率いる連立政権に大きな打撃となっている。
大使は公電で、昨年9月の総選挙後の連立協議の内容などを本国に報告した。情報源に関しては「自民党に忠誠心のある有望な若手」と説明。同党の内部調査の結果、連立協議で記録係だった秘書室長のヘルムート・メッツナー氏(41)が浮上した。
公電は、ドイツ国内の米戦術核の撤去を主張する同外相に対し、連立相手であるキリスト教民主同盟の重鎮、ショイブレ財務相がイランに対する抑止力になっていると反発し、メルケル首相が「ドイツだけでは決められない」とその場を収めた経緯が詳述されている。情報源は連立協議の内部文書も持参したという。
公電によると、情報源は「自民党は(ショイブレ財務相を)陰の実力者に見せようとする怒りっぽい老人とみている」と暴露。連立政権に亀裂が入りかねない事態になっている。
自民党は「機密情報は漏らしておらず、法的に問題はない」として、除名処分は見送った。同党幹部は「伝達された情報は公表されている党の方針ばかり。メッツナー氏の大使への情報提供は、通常の政治活動だ」(ニーベル経済協力開発相)などとして、沈静化に躍起になっている。
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