【特集】日本の震災

南海地震(1946年)

 昭和21(1946)年12月21日午前4時19分に発生した南海地震は、紀伊半島沖の南海トラフを震源とした海溝型地震で、マグニチュード8.0のエネルギーを持つ巨大地震だった。近畿、四国を中心に広い範囲で揺れを感じたが、最大震度は5程度であったとされる。長い横揺れが続いたという証言もあるように、津波を発生させやすい波長の長い地震で、揺れに続いて紀伊半島南岸や四国南部を4~6.5メートルの津波が襲い、1330人が死亡した。

 終戦直後の混乱期に発生したため、被害の実態には不明な部分が多い。戦時中の東南海地震、三河地震の場合、情報は公開されなくても、被害実態の調査はある程度行われたのに対し、戦後の南海地震は救護や復旧が優先され、被害の把握に対応するだけの余裕が行政側になかったとみられる。被災地の中には、戦災復興すらほとんど手の付けられていない地域もあり、何が地震による被害なのか、よく分からないケースさえあった。

 ただ、南海トラフを震源とする南海地震は、100年程度を周期に繰り返し発生している上、東海地震や東南海地震との強い関連も指摘されている。大規模な津波を生む可能性が高いだけに、政府の防災対策でも南海地震の優先順位は徐々に高くなっている。

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ