欧米の研究チームはこのほど、米科学アカデミー紀要の電子版で、母乳育児が知能発育を促進する傾向を再確認した上で、カギとなる遺伝子を特定したと発表した。
同遺伝子には、魚に多く含まれ、脳発育を促す栄養素「オメガ3不飽和脂肪酸」などを母乳を通じて乳児が摂取するのを助ける働きがある。
研究チームは約3200人を対象に、母乳と知能指数(IQ)の関連性を追跡調査。その結果、同遺伝子を持った子供が母乳で育てられた場合、IQは非母乳組に比べ平均7ポイントも高かった。約9割の人は同遺伝子を生来備えているという。一方、同遺伝子を持たない子供では、母乳育児か否かによりIQに差異は生じなかった。
米国では粉ミルク育児が浸透し、1970年代には母乳育児率は25%まで低下。近年は新生児の免疫強化など母乳効果が確認され、母乳派が復活しつつある。世界保健機関(WHO)は、少なくとも生後6カ月間は母乳育児を続けるよう勧めている。(2007年11月7日配信)
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