和歌山県大地町伝統のイルカ漁を批判的に描く米映画「ザ・コーヴ」(ルイ・サホイヤス監督)が、長編ドキュメンタリー賞を受賞した。イルカ漁を残虐なものとして、センセーショナルに描写しており、今回の受賞で注目度が高まると、欧米の世論に影響を与える可能性がある。
イルカはクジラの一種で、捕鯨対象になっている。捕鯨問題は長年、激しい国際論争の的になってきた。日本は捕鯨を「伝統文化」として商業捕鯨の再開を求めるが、欧米では「残虐」として捕鯨禁止を訴える声が強い。最近では、日本で消費量が多いクロマグロもやり玉に挙がり、規制論が高まっている。
イルカは小型ハクジラで、知能が高く、芸も覚えて親しみ深いので、人々の動物愛護意識を引くのに格好の題材なのだろう。「ザ・コーヴ」のスタッフは、撮影を拒絶する大地町の漁場に潜入し、イルカが食用に捕獲される様子を隠し撮りした。海がイルカの血で染まる過激なシーンもある。作品が公開された欧米諸国で話題を呼び、反捕鯨機運が再燃するきっかけになった。
長編ドキュメンタリー賞のノミネート作は以下の通り。
「ビルマVJ」
「ザ・コーヴ」
「フード・インク」(原題)
「ザ・モスト・デンジャラス・マン・イン・アメリカ」(原題)
「フィッチ・ウェイ・ホーム」(原題)
新着
会員限定