特集 裁判員制度

裁判員の守秘義務

 裁判員には「評議の秘密」と「職務上知り得た秘密」の守秘義務が課せられる。裁判後も一生続き、違反すれば6月以下の懲役や50万円以下の罰金となるが、摘発は金銭目的など極めて悪質な場合との見方がある。
 評議の秘密は(1)評議の経過(2)それぞれの裁判官、裁判員の意見(3)意見の多少の数-と規定されている。「自分は死刑を主張したが、裁判長は無期懲役だった」「裁判員の○○さんは最初有罪と言ったが、最終的には全員が無罪の意見になった」などが該当する。
 職務上知り得た秘密には、事件関係者らのプライバシーなどがある。
 守秘義務の目的について、竹崎博允最高裁長官は「一番大事なのは裁判員が安心して自由に意見を述べること」と説明。抵触するのは、誰がどういう意見だったかを明確に述べるか、それを推測できることを話す場合との考え方を示している。
 大野恒太郎法務省刑事局長は、国会で「罰則は、法の趣旨や守秘義務の範囲などを踏まえ、個別事案に応じ適切に運用する」と答弁した。
 裁判員としての体験や感想を語るのは守秘義務の対象外だ。日本新聞協会は判決後の記者会見への協力を要請している。
 日弁連裁判員制度実施本部委員の小池振一郎弁護士の話 名前を挙げず、ある裁判員、ある裁判官がこう言ったと話すのは感想として許容されるべきだ。評議というブラックボックスの中で裁判官が強引に指揮すれば、国民参加の意味はなくなる。守秘義務違反による立件は買収や脅迫を伴う場合に限られると推測される。制度をよりよくするため、家庭、職場、ブログなどで裁判員の経験を大いに語ってほしい。

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