JSPOスポーツ 2013年4月30日:時事ドットコム

JSPOスポーツ 2013年4月30日

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気負いなく、ベテランの味=穴井、引退飾る日本一
全日本柔道

 現役の最後で日本一に返り咲き、「カッコいいでしょ」と白い歯を見せた。「柔道博士」と呼ばれた子どもの頃から、特別な思い入れを持っていた全日本の舞台。28歳の穴井隆将(天理大職)に最高のフィナーレが待っていた。
 本命不在の混戦で、歴戦の経験が生きた。相手の組み手を封じ、スタミナ配分も巧み。返し技の他、珍しく寝技も駆使し、準決勝は石井竜太(日本中央競馬会)の出はなをくじく体落としで一本。決勝も、奥襟を狙う原沢久喜(日大)の右釣り手を十分にさせず、「指導二つ」で優勢勝ちした。
 2回戦負けしたロンドン五輪後に、強化選手の指定を辞退。母校天理大で指導し、大学院でも学ぶなど、第二の人生を歩み始めている。稽古量も半分以下。それでも「勝ちに徹した柔道をしてしまったが、5歳から積み上げたものが出せた」。集大成の満足感があった。
試合中に何度も笑みを浮かべた。ロンドン五輪では金メダルへの重圧に屈したが、「感謝の気持ちを伝える場にしたい」と気負いなく臨んだことが実を結んだ。穴井の家族と観戦した恩師の山中圏一さんは「子どものときも、きょうのような肩の力が抜けた姿はなかった。最高の贈り物をしてくれた」。
表彰式で原沢に「お前が重量級を背負っていくんだ」と語り掛け、20歳の原沢も「頑張ります」と答えた。自らは五輪で果たせなかった日本のエースの誇りも次代に引き継いだ。
写真は決勝で原沢(右手前)を攻める穴井(2013年04月29日)

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