
山梨県富士吉田市で古くから作られている「郡内織物」が、パリ・オペラ座のバレエ団の衣装に採用された。フランスのホストタウンに登録されたことがきっかけとなり、同市の提案で実現。完成した衣装は現地での展示も予定している。五輪後も見据え、郡内織物の知名度向上や海外販路の拡大を目指す。
郡内織物は、同市や県東部地域で生産される絹織物で、平安時代から1000年以上続く歴史があるとされる。先染めした細い糸を複雑に織り上げた、光沢ある柔らかい生地が特徴だ。
2016年にホストタウン登録されたことを契機に、同市は繊維産業をPRしようとオペラ座バレエ団の関連会社に生地の使用を打診。この会社が計画中の日本公演の衣装に使うことで合意した。今年7月にはデザイナーらが来日し、同市や隣の西桂町の織物を手に取って選定した。生地はすでにフランスに発送され、今は衣装完成を待つ段階だ。公演の開催時期は未定だが、「五輪前と聞いている」(同市担当者)という。
完成した衣装は、パリで開催中の日本博「ジャポニスム2018」で、来年2月に3日間展示する。郡内織物を紹介するワークショップも開き、知名度向上につなげる。
国際スポーツ大会キャンプ誘致推進室の担当者は「世界的なバレエ団に利用してもらいありがたい。大会後もフランスの他のメーカーに売り込んでいきたい」と話している。