
兵庫県明石市は、2020年東京五輪・パラリンピックに向け、誰もが暮らしやすいまちづくりに取り組む「共生社会ホストタウン」に登録されたのを契機に、障害者らへの応対やサポート方法を学ぶ「ユニバーサルマナー検定」を市長と幹部職員、市議が受講した。市全体の意識向上につなげるとともに、市政運営にユニバーサルの視点を生かすのが狙い。
検定は、障害のある当事者が障害者の心理状況や声の掛け方を講義したり、車いすの操作方法、視覚障害者の誘導の仕方といった実技研修をしたりする。座学の3級と実技を伴う2級に分かれ、2級は認定試験がある。
今年2月、市長と幹部、市議の計107人が3級を受講。市長を含め54人が2級を取得した。2級を持つ和田満副市長は「今まで自分はユニバーサルマナーを知っていると思っていたが、実技研修で障害者の方の日常生活はこんなにも大変なのかと、気づけていなかったことが分かった」と振り返る。
和田副市長は検定後、市の取り組みを「本当にユニバーサルだろうか」と見直すようになったという。実際に市役所の窓口の案内図を「色使いが色覚障害者の人にも分かりやすい色なのか確認するべきだ」と担当者に伝え、専門家の意見などを参考にしながら改良することにつながった。職員も公共施設のトイレのバリアフリー化をきめ細かに検討するなど「庁内のユニバーサル意識の向上も感じられる」と話す。
山田賢福祉総務課長は「ユニバーサルなまちづくりを進める上で原則をしっかりと理解することは重要。当局と議会が一緒に受講することで意識の共有にもつながる」と話している。
市は15年度、希望する職員を対象に3級検定を研修に取り入れ、民生委員も受けられるようにした。16年度から市内の高校生や飲食店などの民間事業者の3級検定費を免除した結果、3年間で約270人が受講。18年度は新規採用教職員研修にも導入するなど、ユニバーサルマナーの普及に努めている。
〔兵庫県明石市は韓国、台湾のホストタウン〕