衰えないオリンピアン 1964年東京出場の4人に聞く 腹筋500回が日課 …:2018平昌(ピョンチャン)五輪・パラリンピック

コラム

衰えないオリンピアン 1964年東京出場の4人に聞く

腹筋500回が日課 渡辺長武さん

 ◇体調管理、完璧に
 今でも鋭い眼光は、激しい闘争心で「アニマル」の異名を取った選手時代をほうふつとさせる。1964年東京五輪レスリング男子フリースタイルのフェザー級で金メダルを獲得した渡辺長武さんは、日本体育協会が実施してきた通算13回の体力追跡調査を全て受けた。「体調は完璧に管理しているから、今も健康。筋力は平均よりはるかに上」と誇らしそうに言う。

 23歳で臨んだ東京五輪は相手に1ポイントも許さず優勝。「スイスウオッチ」と呼ばれるほど正確な技を繰り出し頂点に立った。北海道出身。少年時代は両親が営む石材店でトロッコでの石運びを手伝う日々を送り、自然と足腰が強くなった。高校でレスリングを始め、中大に進学。猛練習で鍛え上げ、技術を突き詰めてトップ選手に成長した。「世界一の練習量で世界一になった」と自負する。

 五輪後に第一線から退き、大手広告代理店の電通に就職。週に3日は会社に泊まり込むほどの激務をこなした。44歳で退社後、知人に誘われて役員として入ったスポーツ用品会社と、自ら興したイベント会社が相次いで失敗。多額の負債を抱えた。失意の底で「またレスリングで勝負したい」との思いがこみ上げた。

 87年に46歳で現役復帰。翌年のソウル五輪を目指し、1年で10キロ以上減量して代表選考につながる全日本社会人選手権に臨んだ。しかし、準々決勝で若手に敗れて公式戦の連勝記録は189でストップ。五輪の夢は消えた。「46歳でも納得できる体をつくれた。米国のハーバード大学から『もしソウル五輪に出たら、渡辺の体を研究させてくれ』と頼まれていたんだ」と笑う。

 2020年東京五輪に向けての心配事は、レスリング日本男子の成績。「金メダルを五つは取ってほしい。コーチでも何でも、頼まれれば何でもやる。だから体を鍛えて準備している」。76歳の現在も、腹筋500回が日課だ。

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