◇目標掲げて励みに
男子マラソンで1964年東京から五輪に3大会連続で出場した君原健二さん。76歳となった今も現役ランナーで、これまで走破した総距離は「16万キロは超える。地球4周以上」と誇る。
君原さんは東京五輪で活躍を期待されたが、実力を発揮できず8位にとどまり、故円谷幸吉さんが銅メダルを獲得した。レースだけに集中し、調整に余念のなかった円谷さんと比べ、「他競技を見に行ったり、選手にサインをもらいに行ったり。甘さがあった」と自戒する。4年後のメキシコ五輪は、直前に自殺した円谷さんへの追悼の思いも込めて銀メダルに輝く快走を見せた。
5位に入賞した72年ミュンヘン五輪の翌年に第一戦を退いた後も、市民ランナーとしてフルマラソンに挑戦し続けた。レースに備え、週に3度ほどランニングに励む日々だ。
66年のボストン・マラソンで優勝した縁で、16年は50年後に当たる同マラソンに招待された。75歳で迎える晴れ舞台での完走を目標に掲げ、心の支えにしてきた。70歳を過ぎてから練習が思うようにできず、歩くこともままならない時期もあったが、「実現するために頑張れた」。
16年4月、そのボストンを4時間53分14秒で走り切った。日本体育協会の調査を受けてきた結果、飛び抜けて体力のある身ではないと分かっていた。「元五輪選手でも年を取れば普通の人と変わらないということが分かった」と自覚。その上で実践目標を掲げて練習に励み、通算74度目の完走を果たした。
53年前の夏。大声援の中で、東京を駆け抜けた記憶は色あせない。「素晴らしい大会に参加できた。今の皆さんにもぜひ味わってほしい」。現在、走る距離は減ったものの、ランニングは続けている。聖火ランナーなどで2度目の東京五輪に参加できれば、と3年後を楽しみにしている。
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