衰えないオリンピアン 1964年東京出場の4人に聞く 早朝運動、毎日欠かさ…:2018平昌(ピョンチャン)五輪・パラリンピック

コラム

衰えないオリンピアン 1964年東京出場の4人に聞く

早朝運動、毎日欠かさず 早田卓次さん

 ◇膝痛ければ逆立ちで
 1964年東京五輪の体操男子で金メダルを二つ獲得した早田卓次さんは、現役生活の基礎となった早朝の運動を今でも欠かさずに続けている。「体操をやっていたおかげで、自分の体をコントロールするのが楽しい」。76歳になった現在も水泳、スキー、ゴルフとさまざまなスポーツを楽しんでいる。

 和歌山県田辺市に生まれ、子どもの頃から漁師の父を手伝ううちに自然と体が鍛えられた。中学生で体操を始めてからは練習とは別に、競技に適した体重を維持するため早朝から体を動かすことが習慣になった。ロシア語で「ザリアツカ」と呼ばれる早朝トレーニング。「身長と筋力のバランスで、僕のベスト体重は57.5キロ。朝に体を動かすと、(体重調整が)うまくいった」と当時を振り返る。

 東京五輪は、開会式があった10月10日に24歳となって迎えた。60年ローマ五輪にも出場した小野喬さん、遠藤幸雄さんら年上の選手の中で「迷惑を掛けないことだけ考えていた」というが、豊富な練習量を支えに団体総合で優勝に貢献。種目別のつり輪でも金メダルを獲得した。

 今は早朝、公園で1時間ほど体を動かすのが日課。柔軟運動に始まり、逆立ちで静止と歩行、鉄棒で懸垂―。東京五輪から50年以上たち、大病を患ったことはない。70歳を過ぎて左膝を痛めたが、ユーモアたっぷりに「走るのが難しくなったから逆立ちで歩いている」と笑う。体だけでなく、気持ちも若い。

 日本オリンピアンズ協会の理事長としてイベントに参加する時、子どもたちの前で逆立ちをして驚かれるのがひそかな楽しみだという。2020年東京五輪に向けて、「一流の選手の動きはきれい。成績を残すだけでなく、いろいろな人にスポーツの楽しさを伝えてほしい」。体操界の後輩で、プロとなった内村航平(リンガーハット)ら現役選手に大きな期待を寄せている。

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