図解
※記事などの内容は2019年6月26日掲載時のものです
昨年1月、金沢市上空で雷が発生する直前と雷発生時にそれぞれ、雷雲でエネルギーの高い電磁波であるガンマ線が生じたのを地上付近で連続観測したと、京都大の榎戸輝揚特定准教授や東京大大学院生和田有希さんらが発表した。論文は25日付の英物理学誌コミュニケーションズ・フィジックスに掲載される。
雷の直前に約1分間観測されたガンマ線は「ロングバースト」、雷と同時に1秒未満だけ観測されたガンマ線は「ショートバースト」と呼ばれ、発生メカニズムが異なる。連続して観測できたのは世界で初めて。榎戸さんは「雷の放電が始まるきっかけを解明する手掛かりになる」と話している。
雷雲では大小の氷の粒がぶつかり、マイナスの部分とプラスの部分ができる。電圧が高まり、電子がプラスの部分に向けて加速されると、ガンマ線のロングバーストが生じる。
一方、何らかのきっかけで雷の放電が始まると、「地球ガンマ線フラッシュ」と呼ばれる強力なガンマ線が発生し、大気中の窒素原子に衝突。さまざまな核反応が連鎖的に起こり、ガンマ線のショートバーストが生じる。
ガンマ線は放射線の一種に分類されるが、地上付近では微弱になるため、人体への影響はない。榎戸さんらは、冬の日本海沿岸では雷雲が低い場所で発達するためガンマ線を捉えやすいと考え、2006年から新潟、石川両県で観測。17年にはショートバーストの核反応を解明したと発表した。
ロングバーストとショートバーストを初めて連続観測したのは金沢市内の2高校に設置した小型装置で、昨年1月10日未明だった。当時は強い冬型の気圧配置で、日本海側は大雪になったり、雷が落ちたりした。
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