図解
※記事などの内容は2018年7月9日掲載時のものです
西日本に大きな被害をもたらした豪雨は、高気圧と低気圧に挟まれて停滞する梅雨前線に、湿った南風が流れ込み続けたことが要因とみられる。特に被害の大きかった広島県では、発生した積乱雲が連なる線状降水帯が観測された。
東京大・大気海洋研究所の木本昌秀教授(気象学)によると、太平洋上に高気圧、中国大陸上空に低気圧がそれぞれ停滞し、挟まれる形となった梅雨前線が長時間にわたって停滞。大雨の直前に通り抜けた台風7号が「(暖かく湿った)水蒸気の通り道を太くした」ことも影響したという。
木本教授は、2017年7月の九州北部豪雨と比べると、「気圧配置は少し似通っているところはある」としたが、上空の寒気がより広範囲だったため、多くの地域で大雨となった。
一方、防災科学技術研究所が国土交通省などのレーダー情報を解析したところ、広島県では6~7日、積乱雲が連なる線状降水帯が発生していた。同じ場所に次々に積乱雲が流れ込み、大雨につながったとみられる。
清水慎吾主任研究員によると、積乱雲の高さは上空7キロ程度と、九州北部豪雨の15キロに比べ低かった。一般的には高さがあるほど雨量が多いとされるが、海面付近の湿った空気が、南風により豊後水道を通って広島県を直撃したと指摘。「湿った空気が常に流入し、非常に早いプロセスで雨に変わって降り続けた」と分析した。
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