図解
※記事などの内容は2019年7月5日掲載時のものです
西日本豪雨を受け、国や自治体が発表する気象や避難の情報を、5段階の「警戒レベル」で知らせる仕組みが6月から始まった。逃げるタイミングが一目で分かるよう、レベル3は「高齢者らの避難」、レベル4は「全員避難」がそれぞれ必要と定めた。「自分は大丈夫」と思い込む住民も含め、いざというときの避難行動を促すため、国と自治体は日ごろから警戒レベルのPRと活用呼び掛けに努めている。
西日本豪雨では、災害発生前に各地で土砂災害警戒情報が発令されたが、結果として生かし切れず犠牲者が出た。こうした従来の情報も警戒レベルに対応した形で整理した。例えば、土砂災害警戒情報が発令された際はレベル4相当となり、全員避難が必要となる。防災を担当する内閣府幹部は「数字のレベル分けなら簡潔で、外国人にも分かりやすい」と話す。
各地の自治体は災害時に警戒レベルを生かして、住民に避難を促す考えだ。2004年の台風23号で大きな被害を受けた兵庫県豊岡市の中貝宗治市長は、警戒レベルについて「逃げることを行政が全力でサポートする姿勢が打ち出されている」と評価する。ただ、「避難勧告」と「避難指示」がいずれもレベル4に相当することを疑問視する新潟県三条市のように、地域の実情に応じて、勧告と指示に詳しく分けて避難を呼び掛ける自治体も残る。
警戒レベルを導入しても、実際の避難行動につながらないと意味がない。そこで、国土交通省幹部は地道に住民に伝え続ける努力が必要とみている。「避難の必要性を住民に理解してもらえるよう、市町村や報道機関とも連携し、多くの媒体で繰り返し訴えていくほかに特効薬はない」と強調、息長く取り組む構えだ。
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