図解
※記事などの内容は2019年5月18日掲載時のものです
東京都世田谷区から愛知県小牧市までを結ぶ東名高速道路(全長約347キロ)は、1969年に全線開通してから26日で半世紀を迎える。東西をつなぐ高速ルートは日本の経済発展を下支えし、50年間の経済波及効果は中日本高速道路の試算で約60兆円に上る。今では人とモノの移動に「なくてはならない」(物流業者)大動脈となったが、老朽化の課題に直面し対策が急がれている。
50年の経過で道路やトンネルの損傷は確実に進行。中日本高速の担当者は「老朽化対策は高速道路を健全に保つための重要な事業。全力で取り組みたい」と強調する。
同社は2015年度からの15年間で約1兆円を投資。所管道路の路面の取り換えや橋桁の補強を進める。
交通工学を専門とする羽藤英二東京大学大学院教授は「インフラの老朽化対策は社会福祉と並ぶ重要政策課題。自動運転時代の先行投資と合わせて新たな制度設計が必要だ」と指摘する。
東名高速は、日本初の都市間を結ぶ高速道路・名神高速道路に接続するルートとして計画された。経済拠点が集まる東京、神奈川、静岡、愛知の4都県を通り、68年4月に一部区間で供用を開始。69年5月に全線がつながった。
中日本高速によると、1日当たりの利用台数は70年の14万2000台から17年には41万2000台と約3倍に増加。東名がなかった当時、車で約9時間半かかった東京~名古屋間の移動時間は約半分に短縮され、ビジネスに加え、観光やレジャーでも気軽に遠出ができるようになった。
物流面の効果も大きい。東名と名神は合わせても全国の高速道路延長の7%程度にすぎないが、高速道路を利用する貨物量では約半分を占める。多くの製品や生鮮食品が東名を通って全国に届けられており、物流業者は「今では当たり前の翌日配達を実現するには、なくてはならないインフラだ」と話す。
国土交通省の関係者も「日本の東西を結ぶ主要な幹線として大きな役割を果たしてきた」と評価する。
一方、東京近郊や愛知県内の一部区間では渋滞が慢性的に発生し、ドライバーを悩ませている。中日本高速は対策として神奈川県と愛知県を結ぶ新東名高速道路(全長約250キロ)を整備。既に約8割の区間で利用でき、東名との分散で通行時間が短くなったという。災害時に東名が被災した際の代替道路としても期待され、残る区間も20年度までに開通する予定だ。
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