図解
※記事などの内容は2018年9月5日掲載時のものです
台風21号の影響で4日から閉鎖されている関西国際空港は、西日本の空の玄関口で年間2800万人の旅客が利用し、貨物の取扱量も多い。物流網が寸断されたため、他空港の利用を検討する企業が相次いでいる。ホテルでは予約のキャンセルが出ており、関西経済をけん引するインバウンド(訪日外国人客)消費に打撃を与えそうだ。
大阪税関によると、関空の2017年の貨物輸出額は5兆6439億円で、輸入額は3兆9406億円に上る。国内首位の成田空港(千葉県)に次ぐ規模で、輸出は半導体などの電子部品、輸入は医薬品が多い。
村田製作所は国内で生産するセラミックコンデンサーなど電子部品を関空から海外へ出荷しているが、別の空港を使う検討を始めた。パナソニックやローム、京セラも同様の対応を進めている。
観光では、より直接的な影響が懸念される。関空の総旅客数は17年度に2880万人と3年連続で過去最高を更新した。格安航空会社(LCC)の積極的な誘致が奏功し、特に中国・アジアからの観光客が急増していたが、空港閉鎖を受け、ホテルのキャンセルが相次ぐ。
プリンスホテル(東京)では5日午前までに訪日客も多い京都市と大津市の二つのホテルで計340室のキャンセルが発生。大阪市のリーガロイヤルホテルでもアジアの旅行客から約100室のキャンセルがあった。旅行会社関係者は「関空が水没した映像はインパクトがある」と影響を懸念する。日本郵便は関空経由の郵便物に遅れが生じたことから他の空港への切り替えを進めている。
日本総合研究所の石川智久関西経済研究センター長は「関西経済の原動力はインバウンド。関空が閉鎖されれば、1日100億円ぐらいのマイナスの影響が出るだろう」と指摘している。
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