図解
※記事などの内容は2017年3月25日掲載時のものです
北海道新幹線(新青森-新函館北斗、約149キロ)が26日、開業1周年を迎える。玄関口の函館市を中心に観光客が増加するなど「新幹線効果」も見られるが、函館以北への波及は限定的。沿線では「1年目は物珍しさで来てくれた」(大森伊佐緒・木古内町長)との声も聞かれ、関係者の試行錯誤は2年目以降も続きそうだ。
JR北海道によると、開業から今年2月末までの新幹線の乗客数は約220万人。平均乗車率は33%となり、開業前に予想していた26%を上回った。1日当たりの平均乗客数は約6500人で、前年同期の在来線(中小国-木古内)実績に比べ68%増えた。
ただ、夏場の乗車率が40%台で推移したのに対し、1、2月は19%に低迷。島田修社長は予想を上回った平均乗車率を評価しつつ、「閑散期の対策を積み重ねていく」と強調した。
沿線は観光客増に沸いている。函館市にある「五稜郭タワー」は、昨年4月~今年2月末の入場者数が前年比約3割増。関東、東北地方からの旅行者が半数を占め、2006年度以来10年ぶりに年間100万人に到達する見込みという。
新幹線が道内で初めて停車する木古内駅(木古内町)前に昨年1月にオープンした道の駅「みそぎの郷きこない」は、当初予想の3倍以上となる60万人超を集客。浅利文博センター長は「道南の特産物を集めたことで、多くの人が訪ねてくれた」と話す。今後も「道外へのプロモーションの手綱を緩めず、施設も改善を加えていく」(大森町長)と攻勢を強める考えだ。
日銀函館支店の副島豊支店長は「函館や周辺への経済効果は間違いなくあった」とみる。当初から課題と指摘されてきた函館から道内各地への観光客誘致に向け、「交通整備や観光資源の魅力向上が必要」と話している。
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