図解

【図解・社会】特殊詐欺グループをめぐる構図(2018年11月)

特殊詐欺グループをめぐる構図

暴力団立件、ハードル高く=証拠残さず非組員使う-特殊詐欺、「資金源」に

※記事などの内容は2018年11月17日掲載時のものです

 今年上半期(1~6月)の被害額が全国で約175億円に上り、依然として深刻な状況が続く特殊詐欺。警察当局は「暴力団の資金源になっている」とみて、取り締まりを強化している。しかし、詐欺グループの多くが非組員で構成されていることなどから、暴力団幹部ら立件のハードルは高く、苦戦が続く。
 警察庁によると、上半期の特殊詐欺検挙者のうち、約22%は暴力団組員や関係者などだった。ただ、ある捜査関係者は「(現金を引き出す)出し子の勧誘役や差配役を検挙できるようになったくらい」と実情を明かし、暴力団の組織的な資金調達活動と認定するのは難しいと指摘する。
 暴力団幹部らの関与を裏付けることはさらに困難を極める。別の捜査関係者によると、詐欺グループはメンバー間の連絡に履歴の残らない通話アプリを使ったり、内部情報を水溶紙に印刷したりして摘発に備えている。また、非組員は捕まっても「組の関与を話さないよう脅されている」。
 実際、警視庁が5月に指定暴力団住吉会系組員(31)を、大阪府警が9月に同山口組系組幹部(42)を、それぞれ別のグループへの指示役として詐欺容疑で逮捕したが、いずれも不起訴処分となった。こうした事態を踏まえて警察庁は9月、特殊詐欺への関与が疑われる暴力団について、詐欺罪の適用が困難な場合、あらゆる法令で検挙し、組織弱体化を図るよう全国の警察に通達した。
 一方、警視庁は暴力団が関与する特殊詐欺事件を専門的に捜査する体制を強化。10月には3府県警との合同捜査本部で、電話をかける複数の「かけ子」グループを統括していたとみられる山口組2次団体ナンバー3の藤井幸治容疑者(56)を詐欺容疑などで逮捕した。
 警視庁によると、このグループは半年間で計約9500万円を詐取しているといい、同庁は一部が山口組本体に流れたとみて、特殊詐欺事件としては異例の山口組総本部(神戸市)への家宅捜索に踏み切った。これまで計29人を逮捕したが、このうち組員は藤井容疑者ら2人だけ。同庁は摘発を逃れるために非組員で詐欺グループを組織したとみて、実態解明を進めている。 

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