図解
※記事などの内容は2019年5月16日掲載時のものです
裁判所と弁護士事務所などをインターネットで結んだ「ウェブ会議」の運用が2020年2月から東京、大阪など全国8地裁と知財高裁(東京)で始まることが16日、最高裁への取材で分かった。民事裁判の迅速化や利便性向上に向けたIT化の一環で、訴訟当事者や代理人弁護士が裁判所まで赴かなくても、争点整理の手続きを進められるようになる。
運用を始めるのは他に札幌、仙台、名古屋、広島、高松、福岡の各地裁。20年5月には横浜、神戸など5地裁でも運用を開始し、順次拡大される。
具体的には、原告や被告が裁判所から離れた地域に住んでいるケースで、双方の主張を確認したり、証拠を整理したりする手続きでの活用が見込まれる。
現在、こうしたケースでは電話会議が使われているが、裁判官と双方の弁護士がネット上で訴訟資料を共有しながら議論するようなことはできなかった。運用が始まれば、資料を共有した上、互いの顔を見ながら打ち合わせをすることが可能になる。
遠隔地に居住するケース以外の活用方法についても、各地裁がそれぞれの実情に応じ、検討を続ける。弁護士事務所からのアクセスに限定せず、訴訟当事者となった企業の法務部などから弁護士が会議に参加できるようにすることも検討される見通しだ。
ウェブ会議の活用は、政府の有識者会議が18年3月、訴訟当事者らが裁判所に出向くコスト軽減を求めて提言した。オンラインでの訴状提出なども提言されたが、法改正が必要で、法制審議会への19年度中の諮問を目指し議論が進められている。
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