図解
※記事などの内容は2018年6月11日掲載時のものです
静岡県で1966年、一家4人が殺害された「袴田事件」の第2次再審請求即時抗告審で、東京高裁(大島隆明裁判長)は11日、死刑が確定した袴田巌さん(82)の再審開始を認めた静岡地裁決定を取り消し、袴田さん側の再審請求を棄却した。死刑と拘置の執行停止は取り消さなかった。地裁の「無罪」判断は4年余りで覆った。弁護団は最高裁に特別抗告する方針で、再審の可否を決める審理は、さらに続く見通し。
確定判決が犯行時の着衣と認めた半袖シャツの血痕と、袴田さんのDNA型が一致しないとする鑑定の信用性を高裁がどう判断するかが最大の焦点。高裁は「鑑定手法の科学的原理や有用性には深刻な疑問が存在し、結果は信用できない」と判断した。
静岡地裁は2014年3月、DNA型鑑定を根拠に、捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の疑いに言及し、再審開始を決定。死刑と拘置の執行も停止し、「これ以上拘置を続けることは耐え難いほど正義に反する」と、逮捕以来48年ぶりに袴田さんを釈放した。
半袖シャツなど確定判決が犯行時の着衣と認定した衣類5点は、事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクの中から見つかった。
第2次請求審で鑑定を実施した本田克也・筑波大教授は、半袖シャツに付着した犯人のものとされる血痕からDNAを抽出するため、刑事裁判のDNA型鑑定では使われたことがなかった試薬「レクチン」を使用。血痕の型と袴田さんの型が一致しないとの結果を地裁に示し、地裁は鑑定結果などを「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」と認定した。
新着
会員限定