図解
※記事などの内容は2017年4月30日掲載時のものです
廃炉が決まった全国の原発17基のうち、東京電力福島第1原発などを除く7基で、使用済み核燃料計約610トンの搬出先が確定していないことが30日、電力各社や日本原子力研究開発機構への取材で分かった。搬出先が確定しなければ建屋などの解体が計画通り進まず、廃炉が滞る恐れがある。
7基は新型転換炉ふげん(福井県)、高速増殖原型炉もんじゅ(同)、日本原子力発電敦賀原発1号機(同)、関西電力美浜原発1、2号機(同)、中国電力島根原発1号機(松江市)、九州電力玄海原発1号機(佐賀県)。
ふげんには使用済みのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料が70トンある。今年度中に敷地外へ搬出する計画だったが、断念した。原子力機構は海外での再処理を検討したが、契約には至っていない。2033年度に廃炉を終える計画は変えていないが、担当者は「今の状態が続けば工程にも影響する」と話す。
もんじゅは今後廃炉計画を提出するが、使用済みMOX燃料22トンの扱いが当面の課題になる。
美浜1号機には、通常の使用済み燃料が75.7トン、使用済みMOX燃料が1.3トンある。2号機の使用済み燃料は202トンで、いずれも35年度までに福井県外へ搬出する予定だが、場所は決まっていない。
敦賀1号機は使用済み燃料50トンのうち31.1トンを2号機のプールに移し、残りは26年度までに日本原燃六ケ所再処理工場(青森県)へ搬出する。だが再処理工場は完成時期を20回以上延期している。18年度上半期に完成する予定だが、原子力規制委員会の審査が続いており、全ての認可を得て操業を開始しないと核燃料の搬入ができず、実現は不透明だ。
島根1号機の使用済み燃料は122.7トンで、29年度までに再処理工場に搬出する計画。玄海1号機プールの使用済み燃料97.2トンも29年度までに運び出す予定だが、行き先は決まっていない。
一方、搬出先が決まっている原発では、同じ敷地内のプールに移すケースが目立つ。福島第1原発には使用済み燃料が2130トンあるが、溶け落ちた核燃料の調査などが優先され、搬出先が未定でも当面は廃炉作業の支障にならないという。
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