図解

【図解・社会】核燃料サイクルの現状(2016年12月)

核燃料サイクルの現状

動かぬサイクル、誤算続き=再処理工場、未完成-プルサーマルも停滞

※記事などの内容は2016年12月21日掲載時のものです

 原発から出る使用済み核燃料の再利用を目指す核燃料サイクル政策。エネルギーの安定確保を掲げ、半世紀にわたって推進されてきた国策の実態は、巨費の投入と完成延期の繰り返しだった。誤算の連続は高速増殖炉「もんじゅ」に限った話ではなく、依然多くの問題が横たわっている。
 核燃料サイクルには二つの輪がある。使用済み燃料から取り出したウランとプルトニウムを混ぜたMOX燃料を高速増殖炉で使う輪と、通常の原子炉で使うプルサーマル発電だ。
 使用済み燃料から燃え残ったウランとプルトニウムを取り出す日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は、プルサーマルの中核施設。当初は1997年12月の完成を目指していたが、20回以上延期され、現在の完成予定時期は2018年度上期。建設費は2兆1930億円に上り、費用は原発を保有する電力会社の電気料金に含まれている。
 原燃は04年、再処理工場が40年間運転することを前提に、建設から廃炉までの総事業費を12兆6000億円と試算したが、相次ぐ延期でさらに膨らむ恐れがある。
 取り出したウランとプルトニウムを混ぜて作るMOX燃料の加工工場も未完成。原燃は19年度上期までの完成を目指し、建設費を約2100億円と見積もる。
 原燃の再処理工場では、使い終わったMOX燃料からウランやプルトニウムを取り出すことができない。使用済みMOXは通常の使用済み燃料に比べ、毒性の高い放射性物質の割合が多いという問題も抱える。
 電気事業連合会は16~18基のプルサーマル発電を目指していたが、これまでに実現したのは関西電力高浜原発3、4号機(福井県)など5基にとどまる。うち1基は事故を起こした東京電力福島第1原発3号機。現在発電を行っているのは四国電力伊方原発3号機(愛媛県)だけだ。
 使った以上の燃料を生み出すとされる高速増殖炉を中核とするサイクルも、再処理工場や燃料工場は未定の状態。もんじゅの廃炉で先行きはさらに不透明になる。 

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