図解
※記事などの内容は2019年11月5日掲載時のものです
刑事裁判での証拠収集の能力向上を目的に、大阪府警が全国で初めて鑑識課内に設けた「鑑定指導室」が成果を挙げている。設置から1年半が経過したが、課内の連携が密になり、証拠収集が効率的に進むようになったほか、各警察署へのノウハウ伝達も進んでいる。
鑑定指導室は2018年4月、指紋や足跡、写真などの各係を分離・再編する形で発足。鑑識課ナンバー3の室長が直接指揮する体制で仲間意識が強まり、各係の連携が向上。係員が現場の捜査指揮などに活動の幅を広げやすくなったという。
発足から約3カ月後に大阪府吹田市で発生した殺人未遂事件では、足跡係の係員が、現場で見つけた足跡をその場で犯人のものの可能性が高いと判断。逃走ルートを想定して集中的な指紋採取を進めた結果、容疑者の迅速な割り出しにつながった。指導室発足前は、足跡の正式鑑定結果が捜査会議で報告された後、改めて指紋係に指示が出ていたため、その間に雨が降った場合などに証拠が失われる恐れもあった。
指導室発足により、裁判での証拠採用の傾向などを見据え、府内の警察署で資料の採取や保存方法といったノウハウも定期的に指導できるようになったという。
仲健児室長は「自白に頼らない証拠を、より肌身で感じられるようになった。今後も、指導室内や指導室と警察署の連携を深めたい」と話している。
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