図解
※記事などの内容は2018年7月20日掲載時のものです
初の日本版「司法取引」(合意制度)が成立したタイでの火力発電所建設をめぐる贈賄疑惑で、東京地検特捜部は20日、大手発電機器メーカー「三菱日立パワーシステムズ(MHPS)」(横浜市)の元役員ら3人を不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)罪で在宅起訴した。特捜部は同社との合意に基づき、法人としての同社は不起訴とした。
司法取引は6月に開始したばかりの新制度。今回の合意内容は、MHPS側は捜査に全面的に協力する見返りに、特捜部は同社の刑事責任を問わないというものだった。元役員らは起訴内容を認めているとみられる。
起訴された3人は、MHPSの内田聡元取締役常務執行役員兼エンジニアリング本部長(64)と、錦田冬彦元執行役員兼調達総括部長(62)ら。
起訴状によると、3人は2015年2月、タイ南部での火力発電所建設をめぐり、工事現場に海路で資材を滞りなく搬入するため、タイ運輸省港湾局支局長に対し、輸送業者を介して現金1100万タイバーツ(当時のレートで約3900万円相当)を支払ったとされる。
特捜部や関係者によると、支局長はMHPSが現場に設けた仮桟橋をめぐる手続き上の不備を突く形で賄賂を要求。3人は現地からの相談を受け、支払いを了承するなどしていた。
特捜部は現地担当者ら数人の起訴は見送った。
内部告発で不正を把握した同社は内部調査を実施した上で、特捜部に申告。特捜部はタイ側に捜査共助を要請するとともに、今年6月以降、会社側と司法取引を利用することで合意した。
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