図解
※記事などの内容は2019年11月12日掲載時のものです
今年4月に起きた池袋暴走事故の後、東京都内では高齢者を中心に運転免許証を自主返納する人が急増した。警視庁によると、5~10月の返納者数は3万8436人で、前年同期の1万9980人の2倍近くになった。
月間返納者数も5月は5759人で、統計を取り始めた2014年以降の最多を更新。10月には6931人が返納し、記録をさらに塗り替えた。
返納者のほとんどが高齢者で、警視庁の担当者は「池袋の事故後、報道を見て返納を考える人や家族内で真剣に検討する機会が増えたのでは」と推測する。俳優の杉良太郎さん(75)ら著名人による自主返納も、一因になったとみている。
高齢者による交通事故も減少傾向にある。同庁によると、5~10月に都内で65歳以上のドライバーが起こした事故は2582件で、前年同期より203件少なかった。
一方で、運転免許証返納後の交通手段をどうするかという課題はいまだ残されている。池袋事故の遺族の男性(33)は、9月に他の事故遺族らと共に、国土交通省に要望書を提出。運転能力の衰えを自覚する高齢者がハンドルを握らなくても生活できるよう、公共交通機関の拡充などを訴えた。
政府は相次ぐ事故を受け、公共交通機関の利便性向上や自動運転技術を活用した新たな移動手段の実用化、全国の「相乗りタクシー」整備などの緊急対策を打ち出した。また、運転支援機能を備えた車両に限り運転できる限定免許の導入も検討している。
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