図解
※記事などの内容は2017年3月12日掲載時のものです
12日に施行された改正道交法では、ドライブレコーダーを活用した高齢者講習も、臨時の認知機能検査などと並ぶ柱の一つとなっている。
高齢ドライバーの中には、判断力や運転能力の衰えの自覚がないまま、これまでの運転歴から「自分は大丈夫」と慎重さを欠いて運転を続けている人も少なくない。衰えの見られる75歳以上のドライバーに自分の目で見てもらうことによって自覚を促し、より慎重な運転を身に付けてもらうのが狙いだ。
新制度では、免許更新時の検査で「認知症の恐れ」「認知機能低下の恐れ」と判定された人は、3時間の高度化講習に進み、それぞれ実車指導で、課題を一通りやって危険度を見極める「ノンストップ型」と成功するまで課題を繰り返す「ステップアップ型」に分かれる。新設された個人指導で実車の映像を振り返りながら、標識の見落としやブレーキ操作などの問題点を教え、改善を図る。
免許有効期限の半年前から受講できるが、新たな講習は半年間の経過措置があるため、有効期限が9月12日の人から適用される。警察庁の担当者は「自分の運転を客観的に見てもらうことが大きい」とする。「場合によっては運転免許の返納を勧めることもあるが、むしろ能力に見合った運転を心掛けて夜間や長距離・長時間の運転を控えてもらうよう促し、より長く安全な運転が続けられるように指導する」と話す。
ドライブレコーダーの効果に着目した独自の取り組みも始まっている。福井県警は2015年7月から全国に先駆け、希望者に無料で1週間貸し出す個別指導を実施。同県は1世帯当たりの自家用車保有台数が全国1位だが、県警交通企画課の久慈康之警視は「高齢者は運転を教わる機会がなく、警察の支援が大事だと考えた」と語る。
今年2月末までに70歳以上の493人が指導を受けた。アンケートに答えた446人のうち、複数回答で安全確認不足などの「癖や悪い点が分かった」が381人、運転操作や判断力など「衰えを感じた」が48人、「運転を控える」が29人に上った。指導がきっかけの免許返納も4人いた。
久慈警視は「ちゃんと運転できると思っていても、(映像を見ると)安全確認が足りない、停止していないと分かる。高齢運転者は増えており、一人でも多く利用してもらいたい」と語る。
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