図解
※記事などの内容は2019年7月11日掲載時のものです
スマートフォン決済サービス「セブンペイ」が不正利用された事件は、中国人の男2人が逮捕されてから11日で1週間が経過した。男らは中国のインターネット交流サイト(SNS)で指示を受けた実行役で、背後に国際的な犯罪組織があるとみられる。警視庁が実態解明を急ぐが、匿名性の高いネット空間が捜査の壁となりそうだ。
セブン&アイ・ホールディングスによると、第三者がセブンペイ利用者のIDやパスワードを入手し、不正にログイン。登録されたクレジットカードなどから勝手にチャージし、店舗で商品を購入していた。
警視庁は4日、東京都新宿区のセブン-イレブン店舗で電子たばこ20万円分を購入しようとしたとして、詐欺未遂容疑で張升容疑者(22)ら2人を逮捕した。身に覚えのない取引に気付いた利用者から店舗へ連絡があり、発覚した。
張容疑者は調べに対し、中国のSNS「微信(ウェイシン)」を通じて知り合った人物からセブンペイ利用者のIDとパスワードが送られ、「たばこを買えるだけ買え。報酬は1カートン300円」と指示されたと供述した。2人は計3店舗で約110万円分の電子たばこを不正に購入した疑いもあるという。
セブン社によると、約900人、計約5500万円の被害が発生した可能性がある。被害者らのIDには中国など海外からの不正アクセスが集中していた。
警視庁は、組織犯罪対策部が指示役ら犯罪組織上層部への「突き上げ捜査」を行い、不正アクセスについては生活安全部のサイバー犯罪対策課が調べる「2本立て捜査」で実態解明を目指す。
手掛かりとなるのが微信でのやりとりだ。ただ、捜査関係者は「指示役が中国にいたままネットで命令しているとしたら特定は難しい。組織のことを分かっている人間を捕まえる必要がある」と話す。
立命館大情報理工学部の上原哲太郎教授(サイバーセキュリティー)は「捜査で不正アクセス元のIPアドレス(ネット上の住所)が分かっても、人物まで特定するには中国側の協力がカギになる」と指摘した。
新着
会員限定