図解
※記事などの内容は2020年4月3日掲載時のものです
南極大陸の沿岸付近は約9000万年前(白亜紀半ば)には温暖で、森林や湿地があったと推定されるとドイツのアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所などの国際研究チームが3日までに英科学誌ネイチャー電子版に発表した。当時は大陸を覆う氷床がなく、大気中の二酸化炭素濃度が現在よりはるかに高かったと考えられるという。
沿岸の海底下を観測船で掘削し、9300万年前から8300万年前の土を採取したところ、温暖な地域に生息する植物の根や花粉などが多く含まれていた。
掘削地点は南米寄りの南緯73度、西経107度。しかし、この地点は約9000万年前は南緯82度に位置し、当時の南極点から約900キロしか離れていなかった。1年のうち、一日中太陽が出ない極夜が4カ月も続いたとみられる。
当時の気候を復元するシミュレーションを行ったところ、年間平均気温は12~13度、年間降水量は1120ミリと推定された。夏には月間平均気温が18.5度、河川や沼の最高水温が20度に達したとみられる。白亜紀は恐竜が繁栄し、温暖な時代だったことが知られるが、従来の推定を上回った。
現在の地球は温暖化が進むが、南極大陸を覆う分厚い氷床によって冷やされ、バランスが取れていることの重要性が改めて浮かび上がったという。
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