図解
※記事などの内容は2019年2月27日掲載時のものです
臓器移植法に基づく脳死判定と移植が初めて実施されてから、28日で20年になる。日本臓器移植ネットワークによると、これまでに584人が脳死と判定された。徐々に増えてはいるが、欧米諸国に比べ非常に少ない。一方、移植を待つ登録者は1月末時点で1万3530人に上っている。患者や家族らは「もっとドナー(臓器提供者)を増やす取り組みを進めてほしい」と訴えている。
日本では、1968年に札幌医科大で行われた国内初の心臓移植手術で脳死判定の経緯が不透明だったなどと批判が上がり、移植医療は世論の理解が得られず遅れた。97年に臓器移植法が施行されたが、1年余りドナーは現れなかった。
99年2月、高知赤十字病院(高知市)で40代の女性が初めて同法に基づく脳死と判定され、心臓、肝臓などの移植手術が行われた。ただ、その後の臓器提供者は年3~13人にとどまった。脳死判定には本人の書面による提供の意思表示が必要で、15歳未満は対象外とする厳しいルールだったためだ。
2010年に施行された改正法で、本人の意思が不明の場合も家族の承諾があれば臓器提供ができるようになり、15歳未満も可能になった。ドナーは10年の32人から17年の76人まで毎年増加したが、18年は68人に減った。
内閣府の17年の世論調査では、脳死や心臓停止の場合に臓器を「提供したい」「どちらかといえば提供したい」と答えた割合は計41.9%で、否定的な回答をした計21.6%を上回った。
移植医療の普及啓発を行うNPO法人グリーンリボン推進協会の大久保通方理事長(71)は「希望する人が提供できるようになるシステムが必要だ。病院で混乱している家族に寄り添ってサポートし、臓器提供も選択肢として提示できる人員の配置なども検討すべきだ」と話している。
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