図解
※記事などの内容は2019年1月1日掲載時のものです
ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心筋細胞シートに微細で柔軟な「ナノメッシュセンサー」を取り付け、心筋が拍動する際の表面電位をより正確に長期間計測することができたと、東京大や東京女子医科大などの研究チームが発表した。論文は1日、英科学誌ネイチャー・ナノテクノロジー電子版に掲載される。
心筋細胞シートは新薬候補の化合物が不整脈の副作用を引き起こさないかテストするのに使われている。また、大阪大は心筋細胞シートを心不全患者に移植する臨床研究を近く行う見込み。
東京女子医大の清水達也教授によると、ナノメッシュセンサーを使えば、実物の心臓により近い状態で副作用の有無を調べられる。iPS細胞から作った心筋細胞の成熟度を移植前に評価するのにも使えるという。
東大の染谷隆夫教授らが開発したナノメッシュセンサーは、直径約700ナノメートル(ナノは10億分の1の単位)のポリウレタン繊維で網を作り、一部に電気を通す金をコーティングして金の配線などにつなげた装置。
実験容器にクッションとなる「フィブリンゲル」を敷き、その上に心筋細胞シートを重ねた状態でナノメッシュセンサーを置くと、心筋の拍動に応じて一緒に伸縮。表面電位を最長4日間、安定して計測できた。
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