図解
※記事などの内容は2017年9月12日掲載時のものです
生まれた子の病気に備え、親の依頼で臍帯(さいたい)血を有償で凍結保存する民間バンクが少なくとも7社あり、5社で計約4万5700人分を保管していることが12日、分かった。うち約2100人分は意思が確認できないなどの理由で、契約終了後も廃棄されないままになっていた。臍帯血の違法投与事件で破綻した民間バンクから流出したものが使われたため、厚生労働省が初の実態調査を行い、公表した。
民間バンクは規制対象外だが、厚労省は同日、所有権の扱いや処分方法などが不明確だとして、業務内容の届け出を求める通知を7社に発出。契約切れの場合は原則返還か廃棄を求め、有識者委員会で対策を検討する。
同省が日本産婦人科医会を通じて全国の産科医らから情報を収集。10社の情報が寄せられ、うち7社で活動実態が確認されたが、1社は調査を拒み、1社は「引き渡し(仲介)のみ」とした。
保管と回答した5社はステムセル研究所(東京都港区)、アイル(同板橋区)、ときわメディックス(大阪市)、社名公表不可のD社とE社。ときわ社とD社は臍帯血の帰属をめぐり訴訟中という。
ステム社が95%の4万3661人分を保管し、1941人分の契約切れを含む。利用目的は各社「新生児本人の疾患治療」などとするが、移植実績はステム社の12件のみ。国への事前届けが必要となる第三者提供は、仲介のみの1社が「がん治療などで約160件」と回答した。
契約終了後の所有権は、ステム社が「60日経過後の権利放棄」を明示しているが、権利の扱いや回答期限の記載がない社もあった。処分は「破棄」以外に「研究や公共利用」「第三者の治療に利用」との記載が多かった。品質管理や安全対策はアイルとステム社以外は不十分と判断され、E社は多くの項目で未回答だった。
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