図解
※記事などの内容は2019年10月30日掲載時のものです
台風19号で千曲川の堤防が決壊し、広範囲の浸水被害を受けた長野市で、理学療法士らでつくる団体が、避難者がエコノミークラス症候群になるのを防ぐ活動を行っている。同市では現在も高齢者を中心に数百人が避難所に身を寄せており、「足首を動かすなど継続的に運動してほしい」と呼び掛けている。
団体は、理学療法士やリハビリテーション科の医師らで構成される大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(JRAT)。17日から活動を開始し、避難所で高齢者らへの個別の運動指導や、ラジオ体操などを実施している。JRATが長野で活動するのは今回が初めてという。
エコノミークラス症候群は、狭い環境で長時間同じ姿勢を続けることで足の静脈に血栓が生じ、肺に詰まって呼吸困難などに陥る病気。JRATで活動する理学療法士の三浦一望さん(46)は、避難所では水分を控える高齢者もいるため、水分不足で血栓ができやすくなると指摘。ふくらはぎに痛みや熱、腫れなどの症状があれば同症候群の疑いがあり、救急外来を受診するよう呼び掛ける。
同症候群予防のために効果的なのは足首の運動。JRATは、1時間に一度、20~30回行うことを推奨している。避難所でJRATが行うラジオ体操には高齢者が次々参加。男性(76)は「筋肉を伸ばすと気持ちが良い。自分のためだから毎日やらなきゃ」と笑顔を見せた。
メンバーで理学療法士の神津哲也さんは、避難所では今後の生活に対する不安や心配が先立ち、身体の動きが少なくなる高齢者もいると指摘。今後も活動を続け、「突然の災害に対応できるよう、体制を整えていきたい」と話した。
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