図解
※記事などの内容は2017年6月9日掲載時のものです
天皇陛下の退位特例法が制定され、約200年ぶりとなる天皇退位に法的な道筋が付いた。だが、立法の過程でクローズアップされた皇族数の減少や皇位の安定継承への対応は、退位が実現する法施行後に持ち越された。具体的議論は政府に委ねられたが、特例法の付帯決議が検討を求めた「女性宮家」創設に安倍政権は否定的。かといって有効な解決策が見いだせているわけではない。
安倍晋三首相は9日の特例法成立後、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる女性宮家創設の検討を促した付帯決議について「尊重する」と2度繰り返した。しかし、具体的にどうするのか記者団から問われると、「安定的な皇位の継承は、非常に重要な課題だ」と述べるにとどめた。
女性宮家創設により皇族数が増えれば、皇室活動の担い手は当面、確保される。だが、安倍政権は女性宮家が皇位継承の安定策と同列に論じられるのを警戒する。女性宮家の子に皇位継承資格を与えれば女系天皇につながり、「125代男系で続いてきた伝統が崩れる」とみているためだ。
菅義偉官房長官は7日の参院特別委員会で「男系男子をしっかりと引き継いでいきたい」と明言。8日の記者会見では、付帯決議が政府に検討を求めた「安定的な皇位継承の確保」と「女性宮家の創設」は別物、との認識を強調した。
皇族減少への対応策として、政府は女性皇族の結婚後に公的な身分を与え、公務を委嘱する案を検討している。皇室典範を改正せず閣議決定で対応できるが、男系男子への継承を前提とする以上、安定継承には寄与しない。
新着
会員限定