図解
※記事などの内容は2019年5月7日掲載時のものです
光無線通信を使い、海底の観測装置から大容量のデータを高速で回収する実験に、東京海洋大などの研究グループが成功した。同大などが7日までに発表した。観測データの回収が容易になり、深海での地震観測や生物の観察などに役立つと期待される。
水中は電波が届きにくく、音波を使った通信が主流だが、通信速度が遅いため動画などの送受信は難しい。装置を海底から引き揚げてデータを回収する方法では、観測に空白期間が生じるデメリットがあった。
研究グループの海洋研究開発機構と島津製作所は、防衛装備庁が研究委託費を出す「安全保障技術研究推進制度」を利用し、新たな光無線技術を開発。点滅する光を通信機同士が照射し合ってデータをやりとりする仕組みで、実用化した通信機で実験を行った。
東京湾の海底に観測装置を設置し、通信機を載せた水中無人機を近づけて実験した結果、濁った水の中で約4メートル離れても、音波を用いた通信の約1000倍に当たる速度でデータを送受信できたという。
従来の光無線通信は、無人機と装置の位置がずれるとうまく通信できなかったが、今回は受信できる範囲を広げるなどして、安定した通信を可能にした。
安全保障技術研究推進制度は2015年度から始まり、島津製作所によると、同制度で開発された技術の実用化は初めて。同制度をめぐっては日本学術会議が17年、「政府による介入が著しく、問題が多い」とする声明を出した。
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