図解

【図解・社会】ノーベル賞2018・がん免疫療法の仕組み(2018年10月)

がん免疫療法の仕組み

がん治療に新時代=ノーベル賞

※記事などの内容は2018年10月1日掲載時のものです

 日本では1981年から死因の1位を占め、国民病とも言われるがん。今年のノーベル医学生理学賞に選ばれた本庶佑・京都大特別教授は、人間が本来持っている免疫の力を利用することでがん細胞を攻撃する方法を開発し、がん治療の新しい時代を切り開いた。
 免疫は体内に侵入したウイルスや細菌のほか、正常な細胞から変化したがん細胞も異物と認識して攻撃する。自分の体を守るための仕組みだが、間違って正常な細胞を攻撃しないように、ブレーキが備わっている。
 本庶さんらが発見した分子「PD-1」もその一つ。T細胞(免疫細胞)の表面にあり、攻撃対象かどうかを見極める検問所の役割を果たすため「免疫チェックポイント」と呼ばれる。
 だが、がん細胞はこの仕組みを逆手に取り、T細胞のPD-1に「PD-L1」という分子を結合させ、自分でブレーキをかけてしまう。
 本庶さんは、結合を邪魔することができればブレーキはかからず、T細胞はがん細胞を攻撃すると考えた。
 がん治療はこれまで外科手術、放射線療法、抗がん剤などの化学療法の三つが主流だった。放射線や薬剤でがん細胞を攻撃するのに比べ、免疫療法は人間に備わっている力を利用するため、副作用が少ない。以前から提唱されていたが、効果を疑問視する研究者も多く、本庶さんらの研究で注目されるようになった。
 研究を基に作られたがん治療薬「オプジーボ」は高い効果が得られる一方、投与しても患者の7割には効果がないとされる。非常に高額なため、保険適用の拡大による財政圧迫が懸念され、国は薬価を引き下げた。効果の有無を事前に見極める方法の確立が課題となる。

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