図解
※記事などの内容は2016年6月8日掲載時のものです
理化学研究所などのチームが世界で初めて合成した原子番号113番の元素の名称を「ニホニウム(nihonium)」とする案が8日、明らかになった。元素記号は「Nh」。国際純正・応用化学連合(IUPAC)が発表した。審査などを経て正式に決定すれば、日本発の元素が初めて周期表に記載される。
IUPACは昨年末、日本の命名権を認め、理研の森田浩介グループディレクター(九州大教授兼任)らが提案していた。
森田さんは「応援してくださった日本の皆さんのことを思い命名した。人類の知的財産として継承される周期表に、日本を中心とする研究グループが発見した元素が載ることは大変光栄」とのコメントを発表。「基礎科学の研究は国民の税金で成り立っている。心より感謝します」と述べた。
IUPACは5カ月間意見を募集し、審査を経て決定する。周期表では、113番はホウ素やアルミニウムと同じ13族に位置する。
森田さんらは2003年から、亜鉛(原子番号=陽子数30)の原子核をビスマス(同83)の標的に加速器を使って衝突させ、融合させる実験を行った。12年までに計3回、113番元素の合成に成功した。
ロシアと米国の共同研究チームも合成したと主張したが、113番元素ができてから瞬時に崩壊を繰り返し、次々に別の元素に変わる過程を完全に示した日本に命名権が認められた。
日本では東北帝国大(現東北大)学長を務めた小川正孝博士が1908年、鉱物から新元素「ニッポニウム」を発見したと発表したが、想定した43番元素ではないことが判明し、認められなかった。
ロ米の研究チームが合成した三つの新元素も名称と元素記号の案が発表された。115番はモスクワから「モスコビウム(Mc)」、117番は米テネシー州から「テネシン(Ts)」、118番は核物理学者の名前から「オガネソン(Og)」と命名された。
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