図解
※記事などの内容は2019年12月10日掲載時のものです
【ストックホルム時事】今年のノーベル賞授賞式が10日夕(日本時間11日未明)、ストックホルムのコンサートホールで開かれ、化学賞に選ばれた吉野彰・旭化成名誉フェロー(71)に、スウェーデンのカール16世グスタフ国王からメダルと賞状が授与される。
吉野さんは1983年、二つある電極のうち、負極に電気を通すプラスチック「ポリアセチレン」、正極にコバルト酸リチウムを用いた電池を試作。85年に負極を炭素材料に代え、現在使われているリチウムイオン電池の基本形を完成させた。
軽量で出力が強く、充電できるリチウムイオン電池は、ノートパソコンや携帯電話、スマートフォンの普及に貢献し、IT革命の立役者となった。
共同受賞者のスタンリー・ウィッティンガム米ニューヨーク州立大卓越教授(77)は70年代にリチウムを使った充電池を提案。ジョン・グッドイナフ米テキサス大教授(97)は80年、コバルト酸リチウムが正極に適していることを発見した。
日本人のノーベル賞受賞は昨年の本庶佑・京都大特別教授(77)に続き27人目。
◇吉野彰氏略歴
吉野 彰氏(よしの・あきら)旭化成名誉フェロー。1948年1月、大阪府吹田市生まれ。72年3月、京都大大学院工学研究科修士課程修了、同年4月に旭化成入社。電池材料事業開発室長などを経て、2017年10月から現職。技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター理事長や名城大教授などを兼務。18年日本国際賞、19年欧州発明家賞。同年文化勲章受章。
◇スタンリー・ウィッティンガム氏略歴
スタンリー・ウィッティンガム氏 米ニューヨーク州立大ビンガムトン校卓越教授。1941年12月英国ノッティンガム生まれ。68年英オックスフォード大で化学博士号取得。米石油大手エクソン社勤務などを経て現職。
◇ジョン・グッドイナフ氏略歴
ジョン・グッドイナフ氏 米テキサス大オースティン校教授。1922年7月ドイツ・イエナ生まれ、米国籍。52年米シカゴ大で物理学博士号取得。76年英オックスフォード大教授・無機化学研究所長などを経て、86年から現職。2001年日本国際賞、09年米エンリコ・フェルミ賞。18年米ベンジャミン・フランクリン・メダル化学賞。
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