図解
※記事などの内容は2019年6月10日掲載時のものです
航空自衛隊三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aの墜落事故で、防衛省は10日、操縦者が平衡感覚を失う「空間識失調」により墜落したとする推定原因を発表した。機体トラブルなどはなかったと推定し、同省は教育など対策を徹底した上で同型機の飛行を再開する。
同省によると、F35の情報共有システムや地上レーダーから、墜落機の位置や高度を特定。航跡や速度を分析した結果、操縦者が空間識失調に陥った可能性が高いと判断した。事故機の交信内容や、国内配備された残る12機の点検結果からも機体に問題は確認されず、正常に作動していたと推定した。
事故は4月9日夜に発生。午後7時25分ごろ、高度約9600メートルで訓練中だった墜落機から「2キル(2機撃墜)」と交信があり、近づく米軍機を避けるため約1分後に管制が降下を指示した。同機は追加指示された左旋回をしながら約20秒後に約4700メートルまで急降下し、「はい、ノック・イット・オフ(訓練中止)」と交信。その後も急降下を続け、約15秒で水面から約300メートルの高度に達し、レーダーから消えた。
最後の交信の声は落ち着いており、異常を知らせる様子はなく、次の訓練のために発したとみられる。負担の大きい左旋回直後の交信で、重力により意識喪失した可能性は極めて低いという。
機体に異常があった場合、降下時に減速する可能性が高いが、同機は通常ではあり得ない音速を超えた速度で急降下していた。空間識失調状態の操縦者が機体姿勢を錯覚し、機首を下げた急降下姿勢のまま、ほぼ垂直に墜落したとみられる。
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