図解
※記事などの内容は2018年8月1日掲載時のものです
秋田、山口両県への配備計画が進められる陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」。防衛省が選定した米ロッキード・マーチン社製の最新鋭レーダー「LMSSR」を含む本体は1基当たり約1340億円で、当初の見積もりより500億円以上高くなった。今後、垂直発射装置(VLS)の調達などに加え、迎撃ミサイル配備費を含めるとさらに数百億円必要となる可能性もあり、コストの全体像は不透明だ。
防衛省は、巨額の税金を投入する必要性と安全保障上の有用性を明確に説明する責務がある。
弾道ミサイルを探知、追尾するLMSSRは日本が米政府を介さずロッキード社と直接交渉し輸入する。しかし、本体に含まれる「ベースライン9」と呼ばれるイージス防空システムの頭脳に当たる射撃管制や情報処理を行う装備品は、取引条件が米側に有利な米政府の有償軍事援助(FMS)で調達するため増額される可能性もある。
今後、レーダー・管制用の「デッキハウス」と呼ばれる建物なども必要になる。米軍などによると、陸上イージスを配備したルーマニアの場合、施設建設費は150億円以上とみられ、建設には米国の大手軍需会社が関わった。
日本が陸上イージスに配備予定の新型迎撃ミサイルSM3ブロック2Aは、FMS調達で1発35億円前後とみられる。ミサイルを一斉に撃ち込んで迎撃を難しくする「飽和攻撃」に対処するため、VLSには24発搭載することが検討されており、「弾代」だけで護衛艦1隻分の建造費(700億円前後)に相当する。
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