図解
※記事などの内容は2017年2月23日掲載時のものです
全国の在日米軍基地の騒音訴訟で、判決で騒音の違法性が認められ確定した賠償金の支払いについて米側が、米軍機の騒音は日米安保条約の目的を達成する活動の中で生じたもので、「米側が賠償すべきものではない」との見解を日本側に示していたことが23日、政府関係者への取材で分かった。
賠償金支払いの分担割合を定めた日米地位協定を軽視した形で、騒音問題に対する米側の姿勢が問われそうだ。これまでに日本政府が基地騒音訴訟で支払った賠償金の総額は300億円(遅延損害金含む)を超える。
日米地位協定18条は公務中の米軍が第三者に損害を与えた場合、賠償額の75%を米国が、25%を日本が負担し、日米双方に責任がある場合には両国が均等に分担すると規定している。
しかし、米側は「米軍の航空機は日本側から提供された施設・区域を使用し、日米安保条約の目的達成のために所要の活動を行っている」との見解を提示。騒音問題については、日米地位協定に基づき米側が賠償すべきものではないとの立場を取っている。
沖縄県の第3次嘉手納爆音訴訟では23日、過去最高の約302億円の巨額の賠償が命じられた。賠償が確定した場合には、日本政府が肩代わりする金額がさらに増える可能性がある。
法務省や防衛省によると、これまでに在日米軍基地や日米共同使用の基地の騒音訴訟で、賠償命令が確定したのは、嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)約70億円▽普天間飛行場(同県宜野湾市)約13億6000万円▽厚木基地(神奈川県)約125億円▽横田基地(東京都)約38億5000万円▽小松基地(石川県)約13億7000万円。
確定した賠償金の総額は約260億円で、遅延損害金を含めると約330億円となる。
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