図解
※記事などの内容は2016年12月14日掲載時のものです
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の新型輸送機オスプレイが沖縄本島東海岸に不時着した事故は、一歩間違えば市民を巻き込みかねない重大事故を起こす運用上の危険性を露呈した。現場周辺には集落があり、3キロ足らずのところにはリゾートホテルがある。オスプレイは本土にも訓練飛行しており、「安全」と説明してきた日米両政府への不信感を抱く自治体も出ている。
普天間飛行場では13日に事故機とは別のオスプレイが前輪が出ずに「胴体着陸」していたことも判明。不安は一段と深刻化している。
在日米軍が外務、防衛両省にした説明によると、不時着した事故機は13日、別のオスプレイ、CH53ヘリコプターとともに、KC130輸送機から給油を受ける訓練を実施。事故機の給油ホースが切断し、パイロットは普天間飛行場へ帰還を試みたが、住宅地を飛行することになるため現場から数キロ離れたキャンプシュワブに変更した。
海岸沿いに基地を目指したが飛行困難な状況となり、パイロットの判断で浅瀬に不時着。米軍は「事故原因はオスプレイの機体にあるという可能性は極めて低い」と強調した。
24機のオスプレイが配備された普天間飛行場移設先の名護市の稲嶺進市長は、「このあたりに新基地ができると、こういうことが何度も起きるのではないか」と懸念。事故現場から集落までは約800メートルで、市職員は「漁業関係者や住民も不安に感じている。現場はビーチにも近く、観光に影響が出なければいいが」と話す。
「政府の説明はもう通じない」。政府がこれまでオスプレイの運用について「安全性は十分確認されている」としてきただけに、事故は本土の自治体にも衝撃を与えた。海兵隊のキャンプ富士がある静岡県の川勝平太知事は、過去に起きたオスプレイの事故についての米側の説明を踏まえ「米国の言うことをうのみにして安全性を国民に説明する米国追従型の政策に強い懸念がある」と話した。
地元、御殿場市の若林洋平市長も「市民の安全が第一。機体の問題か人為的ミスかどうかが重要で、結果によっては住民に不安を与える」と指摘した。
陸上自衛隊が導入するオスプレイ配備が計画されている佐賀県の山口祥義知事は「あってはならないこと。徹底的に原因を調査してほしい」と述べた。その上で、「原因究明が一番大事な問題として目の前にある。ここをうやむやにして計画受け入れの可否判断の議論はあり得ない」と強調した。
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