図解
※記事などの内容は2012年5月12日掲載時のものです
東日本大震災の被災地に建てられた仮設住宅の建設費が膨らんでいる。土地の造成費がかさんだ上、防寒やバリアフリーの対策で追加工事を繰り返したためで、1戸当たり平均額は当初の想定を上回り、600万円前後になった。今後も工事の追加が予定され、宮城県では800万円を超す見通しだが、「国が震災前から寒冷地の仕様を定めていれば、費用を抑えられた」との指摘がある。
岩手、宮城、福島3県では約5万2000戸の仮設住宅が建てられた。
厚生労働省は震災時、1戸の標準額を238万7000円としていた。ただ建物本体の金額で、被災地では浸水していない土地を新たに造成したり、水道や電気の設備を新設したりする費用が上乗せされた。建物にも防寒用の断熱材や積雪に備えた補強が必要で、3県は当初から平均約520万~550万円を見込んでいた。
しかし、断熱材の追加や窓の二重化、トイレ便座の暖房といった寒さ対策を次々と実施。浴室やトイレのバリアフリー化、集会所の増設、砂利の敷地の舗装なども行った。平均の建設費は岩手568万円、宮城664万円、福島574万円となり、見込みを38万~114万円超過。各県の担当者は「ここまで上がるとは」と口をそろえる。
さらに、入居期間が1年間延長され、風呂の追いだきと物置の提供が決定。1戸当たり計約50万円がかかる。8割の建物は最後に同100万円の解体費が生じ、宮城県では最終的に800万円を超すとみられる。
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