図解
※記事などの内容は2019年10月11日掲載時のものです
恐喝罪で実刑判決を受け服役している指定暴力団六代目山口組ナンバー2の若頭高山清司受刑者(72)が近く、府中刑務所(東京都府中市)を出所する。国内最大勢力の山口組分裂から約4年。分裂に関係するとみられる事件はほぼ毎月発生し、死者は計9人に上る。一触即発の状況が続く中でのキーマン出所に警察当局は警戒を強めている。
関係者は「直系組長、特に執行部は出所に戦々恐々としている」と声を潜める。金にシビアで、意に沿わない幹部を切り捨てるという高山受刑者から離脱団体への報復命令などが下り、抗争が激化する可能性があるからだ。捜査幹部は「何が起きても対処できるように準備を進める。激化すれば特定抗争団体の指定も速やかに行う」と話す。
高山受刑者は六代目山口組の篠田建市(通称・司忍)組長(77)と同じ「弘道会」出身。篠田組長が銃刀法違反罪で服役していた時も、傘下組織に多額の上納金を要求して資金を増やし、忠誠を誓わない幹部を追放するなど強権的な支配体制を敷いたとされる。
しかし、建設業者から4000万円を脅し取ったとして京都府警に逮捕され、懲役6年の実刑判決を受け2014年6月に収監。強権的支配や弘道会出身者の優遇などに不満を募らせていた13団体の組長が15年8月に離脱を表明して神戸山口組を結成し、16年3月に警察庁が対立抗争状態と認定した。その後、任侠山口組が神戸山口組から離脱して以降、三つどもえ状態が続いている。
警察庁などによると、分裂に関係するとみられる事件は15年8月~今年6月に122件発生。計7人が死亡し、4月には神戸市で神戸山口組の中核団体「山健組」の與則和若頭(65)が弘道会系組員らに刺され重傷を負った。8月以降、神戸市にある弘道会の関西拠点前で組員が撃たれたほか、愛知、群馬両県の六代目山口組系組事務所で報復とみられる事件が続発した。
今月10日には山健組前で2人が射殺され、弘道会系幹部が逮捕された。関係者は「出所前に示しを付けた」とみている。出所当日の高山受刑者への襲撃も予想され、別の捜査幹部は「一般人が巻き込まれないよう最大限の警戒態勢で臨む」と話す。
新着
会員限定