図解
※記事などの内容は2019年1月7日掲載時のものです
東京・原宿の竹下通りで暴走した車が歩行者8人をはねた事件は8日で発生から1週間。殺人未遂容疑で逮捕された日下部和博容疑者(21)は「死刑制度に対する報復でやった」と自らの主張を展開し、火炎放射器のような物を準備するなど強い殺意や計画性がうかがえる。一方、なぜ死刑制度に言及するのかは謎で、警視庁は無差別襲撃に至る背景の解明に全力を注ぐ。
◇「誰でもよかった」
「死刑制度は国民の総意に基づくものだから、(対象は)誰でもよかった」。捜査関係者によると、日下部容疑者は逮捕時、動機についてこう供述したという。取り調べにも自らの主張や事件の経緯などを整然と説明。「人混みを狙った。大阪でもやろうと思った」と話している。
一方、同容疑者がこれまで死刑制度に関連する特定の団体に所属していた形跡はなく、動機として挙げた理由は謎のままだ。同庁捜査1課は、押収したパソコンや携帯電話を解析するなどし、同容疑者の考えの背景に何があったのか慎重に調べを進めている。
◇1カ月前に免許
日下部容疑者の言動から垣間見えるのは強い殺意と高い計画性だ。少なくとも事件の約1カ月前から準備していたとみられている。
同課などによると、日下部容疑者は昨年12月上旬に運転免許を取得した。高圧洗浄機や灯油も地元の大阪で準備し、同月31日にレンタカーで上京。1日未明に事件を起こした。「逃げやすい夜を狙った」と供述しているという。
車内にあった洗浄機のノズルの先端には着火装置が巻き付けられ、灯油を噴射し火炎放射器のように使おうとしていたとみられる。「明治神宮で噴射しようと思った。車内で試したが失敗した」と話しており、計画を変更して竹下通りで暴走した可能性がある。
自らの主張に基づき行動し、周到に無差別襲撃を企てていた日下部容疑者。ある捜査幹部は、海外で頻発する個人によるテロ行為になぞらえ、「まさにローンウルフ(一匹おおかみ)だ」と話した。
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