図解
※記事などの内容は2019年8月16日掲載時のものです
京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオ(3階建て)で35人が死亡した放火殺人事件は、18日で発生から1カ月。京都府警は16日までに、犠牲者の全員が自分の勤務するフロアや近くの階段などで倒れており、他の階に移動できなかったという状況を明らかにした。京都大防災研究所も、出火30秒で2階から上の空間のほとんどに煙が充満したというシミュレーション結果を公表しており、ガソリンに引火した直後、同社社員が逃げる間もなく有害な煙が建物内に広がった実態が判明した。
府警によると、建物内には事件当時、20~61歳の同社社員70人がいた。35人が死亡、34人が重軽傷を負い、けががなかったのは1人だけだった。各階で倒れていた犠牲者は3階が20人で、屋上に通じる階段で折り重なるように倒れていた。2階は11人、1階は4人(うち2人は屋外で発見)だった。
青葉真司容疑者(41)=さいたま市見沼区、殺人容疑などで逮捕状=はバケツに入れたガソリンを1階入り口近くのらせん階段周辺にまき、火を付けたとみられている。
京大防災研の西野智研准教授の分析では、らせん階段が上階に煙の拡散する主な経路となり、煙は出火5秒で3階に到達し、十数秒後には極めて危険な状態になったと推定している。
2階から飛び降りて助かった男性社員は「爆発音がし、男性が『火事だ』と叫んだ後に、女性が防災ベルを押した。15秒もしないうちにらせん階段から黒い煙が上がってきて、目が見えないくらい周りを覆った」と証言している。
事件では他に34人がけがをし、うち29人が重傷。8人は今も入院中で4人が重体という。2、3階にいた生存者の多くは、一瞬の判断で2階ベランダから飛び降りて脱出した。
府警は16日までに、被害実態を踏まえた上で、35人に対する殺人容疑、他の35人に対する殺人未遂容疑などで逮捕状を再取得した。
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