図解
※記事などの内容は2017年11月3日掲載時のものです
京都、大阪、兵庫で起きた青酸化合物を使った連続不審死事件で、高齢男性4人への殺人罪などに問われた筧千佐子被告(70)の裁判員裁判の判決が7日、京都地裁である。死因や自白の任意性、刑事責任能力について、死刑を求める検察側と無罪を主張する弁護側は全面的に対立。殺害に使われたという青酸は特定されておらず、検察側の状況証拠を裁判員らがどう判断するか注目される。
検察側は、4人とも事件当日に被告と一緒で、2人からは青酸が検出され、残る2人も青酸中毒とみられる所見を重視。遺言公正証書を作成させられた人もおり、被告が死後に遺産など約3750万円を取得し、4000万円の債務返済を免れたなどの状況から「遺産目当てで青酸を飲ませた」と主張した。夫の筧勇夫さん=当時(75)=の死後、被告が処分したプランターから微量の青酸が見つかった点も有力な根拠とした。
一方、弁護側は青酸の検出方法や所見の内容に疑問を呈し、「病死や事故の可能性は否定できない」と反論。見つかった青酸に関しても、入手方法や保管状況は不明で、筧被告の隠匿物という証拠はないと指摘した。
被告は捜査段階で4事件への関与を認めており、大阪府警の捜査員は公判で、被告が調べに、健康食品のカプセルの中身を耳かきを使って青酸に入れ替える手口を再現したと証言。弁護側は「連日の追及で自分が殺したと思い込み、捜査員が想定した通りの虚偽の自白をした」とし、供述は任意性に欠けるとした。
法廷での筧被告は、ある時は殺害を認めても、質問者が変わると否認に転じるなど不規則な言動が目立った。弁護側は事件当時、既に認知症だったと説明。「当時から善悪の判断ができず、現在は、裁判で自分の利害を見分けることもできない」とし、刑事責任能力や訴訟能力がないと訴えた。これに対し、捜査段階で被告の精神鑑定を行った医師は証人尋問で、当時は発症していなかったと推測した。
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