図解
※記事などの内容は2017年2月13日掲載時のものです
多種多様な用件を代行する「便利屋」で、若者の依頼が増えている。インターネット交流サイト(SNS)に掲載する写真に一緒に写るスタッフの派遣を求める相談が、20代女性を中心に多く寄せられているという。
「結婚式代理出席」などユニークな代行サービスを提供する「ファミリーロマンス」(東京都新宿区)によると、20代からの依頼は会社設立の2009年は16件だったが、16年には489件に。自分の結婚式に親戚や友人として出席を求める依頼が201件と最多で、うち女性は約6割。
同社代表取締役石井裕一さん(35)によると、「式に出席する友達が少ない」と男女計十数人の派遣を要請した20代前半の女性会社員も。平均派遣人数は6人前後。SNSに掲載する写真の撮影を目的とした依頼も数年前から目立つといい、「両親や友達に、友人が少ないと思われたくない人が増えている」とする。
女性のみのスタッフによる便利屋「クライアントパートナーズ」(同)代表取締役安倍真紀さん(41)も「09年の設立当初は100件中1件あるかないかだった20代の依頼が16年には20件ほどと、右肩上がりで増えている」と話す。当初は男性が多かったが、16年は女性がやはり6割を占めた。
20代後半の女性会社員は、SNSに掲載するため、自分の誕生日を祝う写真に一緒に写る女性スタッフを要請。別の20代女性会社員は、女子会を開きSNSにアップするためスタッフ3人を依頼してきた。アップする写真のため10回近く繰り返し利用する人もいるといい、安倍さんは「必要以上に周囲に良く見られたいと思う人が増えている」と語る。
顧客が1回で支払う料金は6000~10万円という。
若者事情に詳しい世代・トレンド評論家牛窪恵さん(49)は「フェイスブックなどのSNSの普及により友達の数が可視化された結果、若者は友達の数が少ないことに恐れを感じたり、コミュニケーション能力が劣っているのではと不安を抱いたりするようになっている」と背景を分析する。
安倍さんは「こうした依頼は減ってほしいのが本音。格好悪い所をさらけ出せない傾向が強まっているのでは」と話している。
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